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夢に終わった新大陸ジョージアへの伝道−
1735年、32才の時にジョン・ウェスレーとメソジストの仲間たちは、アメリカ新大陸ジョージアへの伝道を決意した。それは刑務所伝道で協力した福祉家オグレソーブ元将軍が、経済犯で刑期を終え社会復帰を志す元受刑者たちに新大陸での活躍の場を作るという計画を進めており、これに協力しようとするものであった。
ジョン自身の立場からすれば、一方では老境に入った父サムエルからエプワースの司祭職を継いで欲しいとの希望が示され、他方オックスフォードでの教員としての地位と将来、そして宣教と奉仕に対する熱烈な使命感との板挟みの中で、あえて辿りついた結論であり、閉塞した英国の宗教界から飛び出し、未だ福音を知らないインディアンたちににまで伝道の業を拡げたいとの夢を抱いた決断でもあった。
しかし、その若さに溢れた夢はたちまち幾つかの挫折に遭遇することになる。まず、新大陸を目指して彼らの乗船した帆船は、大西洋上で思わぬ嵐に襲われる。風と荒波に翻弄され、信仰厚いジョンたちでさえもう駄目かとの心の騒ぎに怖ぢ惑っている時に、同船していたドイツのモラビア派に属する無学な農民たちの男女が、心静かに祈り讃美を捧げている姿を目のあたりにし、自分たちの信仰とは何だったのか深く反省させられることなった。
嵐は収まり、やっとジョージア州のサバナという港町に上陸したが、そこでジョンを待っていたのはその町の国教会の司祭職であった。ジョンは相変わらずの几帳面さでその職務に励むが、本国においてさえ「几帳面屋(メソジスト)」と呼ばれる厳格な信仰指導と、新大陸の植民地で暮らす人々の心の間には微妙なズレがあり、司祭と教会員との関係はなかなかシックリしなかった。また、夢みていたインディアン伝道の機会にも殆ど恵まれなかった。
そんな中で、ジョンの信仰と学歴を慕って個人教授を受けていた若い女性と、その配偶者を含むまわりの人々との間にいさかいが起き、ジョンが女性を侮辱する言動をしたとの訴訟が提起される事態となり、街中の視線を一身に浴びるようになったジョンは、遂に夢破れて夜逃げ同然の形でサバナの町を去らねばならなかった。
若さと希望に満ちた新大陸伝道の夢は、わずか2年で空しく破れ去ることとなったのである。
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