銀座教会
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銀座の鐘

神に愛され、選ばれて

説教集

更新日:2023年11月19日

2023年11月19日(日)聖霊降臨後第25主日 銀座教会 子ども祝福・家族礼拝(家庭礼拝)伝道師 山森 風花

コロサイの信徒への手紙3章12~17節

 本日は子ども祝福・家族礼拝です。子どもも大人も一緒に集まって、礼拝をささげるとっても嬉しい日です。この嬉しい日の朝に、みんなでお読みしている聖書のお話は、パウロさんが書いたお手紙の内容の一部分です。さて、みんなはこのお手紙を書いたパウロさんがどんな人だったか知っているでしょうか。「お名前は聞いたことがある!」って人も中にはいるかもしれません。このパウロさんという人は、色々な教会にあてて、たくさんのお手紙を書いた人です。みんなが読んでいる聖書の中には、パウロさんが書いたお手紙が他にもたくさんあります。ですから、「パウロさんが書いたお手紙を読みたい」と思ったらみんなは聖書を開けばすぐにパウロさんのお手紙を読むことができます。このように、聖書を開いてパウロさんのお手紙を読んだり、パウロさんのことを知ったりすると、きっと、みんなとパウロさんとの距離が近くなっていくと思います。ですので、パウロさんとの距離を縮めるために、今日は少し、パウロさんって一体どんな人だったのかということをお話したいと思います。
 さて、みんなはパウロさんが何年くらい前の人か知っているでしょうか。たくさんお手紙が残っているってことはパウロさんはそんなに昔の人じゃないのかなって思う人もいるかもしれません。でも、実はこのパウロさんは、今から約1950年近くも前の人なのです。とっても昔の人ですね。パウロさんが生きていた約1950年前、今からとっても昔の時代には、びっくりするくらい大きな国がありました。それはローマ帝国という国です。パウロさんはこの大きなローマ帝国という国の、タルソスという町で生まれ、育ちました。このローマ帝国には、タルソスだけでなく、他にも沢山の町がありました。例えば、アテネやコリント、また、今日皆で読んでいるお手紙、「コロサイの信徒への手紙」の、「コロサイ」というのも、このローマ帝国にあった町の名前です。
 他にも数えきれないほど多くの町があったこのローマ帝国で、パウロさんはたくさん旅行をしました。旅行と言っても、パウロさんは遊びに行ったり、何か観光地を見に行くために旅行をしたわけではありません。パウロさんの旅行には大切な目的がありました。それは、まだイエス様や天の父なる神様のことを知らない人たちと出会い、イエス様や神様についてお話しする、という目的でした。そのために、パウロさんはこの広い広いローマ帝国のいろんな町に行きました。今みたいに新幹線や飛行機、電車も車も自転車もありませんから、パウロさんはこの広いローマ帝国を歩いて旅行したのでした。これだけでもびっくりですが、パウロさんはなんと、約三十年近くも旅行したのです。
 パウロさんが約三十年近くもローマ帝国の中を歩いて旅行し、イエス様のこと、神様のことを伝えてくれたおかげで、イエス様のことを信じる人たちが少しずつ増えていきました。そして、このイエス様を信じる人たちがそれぞれの場所で集まって礼拝をささげるようになり、教会が生まれていったのでした。イエス様のことを、神様のことを知らなかった人たちが、イエス様を、神様を信じるようになって、みんなで礼拝をささげる教会まで生まれたのですから、パウロさんはとってもうれしかったと思います。
 でも、イエス様のこと、神様のことを伝えるパウロさんのこの旅行は、いつも嬉しいことばかりだったわけではありませんでした。なぜなら、パウロさんのお話をきいて、イエス様のこと、神様のことを信じる人ばかりだったわけではなかったからです。パウロさんのことを嫌う人たちもたくさんいました。そういう人たちによって、パウロさんは石を投げつけられたりすることも、鞭でうたれたりすることもありました。ある時には、牢屋にいれられてしまうこともありました。
 だけど、そんな大変な目にあっても、パウロさんはこの旅行をやめようとはしませんでした。パウロさんは、たとえ牢屋に入れられて、捕まっている時でも、イエス様のことをお話しすることをやめなかったのです。また、神様を賛美するための歌、讃美歌を歌う事をやめませんでした。それだけではなく、パウロさんは牢屋の中からお手紙を色々な教会に送りました。それは「牢屋の中にいることが辛いからなんとかして助けに来て」というお手紙ではありません。イエス様のこと、神様のことを、教会に集まる人たちに教え、イエス様や神様を信じる人たちとしてみんながどうやって生活すれば良いのか、ということを教えるお手紙をパウロさんは牢屋の中から送ったのでした。
 こんな話を聞くと、みんなはどう思うでしょうか。パウロさんってすごい!特別な人だ!」って思うんじゃないでしょうか。もしかしたら、「パウロさんみたいにイエス様のため、神様のために働く人こそ、神様から選ばれて、愛されるべき人なんだ!」と思う人もいるかもしれません。だけど、パウロさんは他の人と比べて、自分だけが特別に神様に愛されているんだなんて言っていません。むしろ、今日みんなで読んでいるコロサイ教会に宛てたお手紙の中で、パウロさんは12節で、こう書いているのです、
「あなたがたは神に選ばれ、聖なる者とされ、愛されている」
 ここで、パウロさんは「あなたがた」と言っています。決してパウロさんは、「わたしだけは神に選ばれ、聖なる者とされ、愛されている」とは言っていないのです。そうではなく、パウロさんは教会に集められている一人一人に、みんなに、「あなたがたは神に選ばれ、聖なる者とされ、愛されている」といっているのです。つまり、今朝、この子ども祝福・家族礼拝をささげているみんな子どもも大人も関係なく、すべての人に対して「あなたがたは神に選ばれ、聖なる者とされ、愛されている」とパウロさんはいっているのです。
 もしかしたら、「先生、そんなのおかしいよ。だって、このお手紙はコロサイ教会に宛てて書かれたお手紙だから、私たちには関係ないじゃない」と思う人もいるかも知れませんね。でも、実はこのお手紙は私たちにも関係しているお手紙なのです。今日のお話の最初に、聖書を開くと、パウロさんのお手紙をたくさん読むことができるとお話しました。パウロさんのお手紙がこのようにして聖書の中にいれられて、今もこのようにして読むことができるということ。それは、パウロさんがそれぞれの教会にあてて書いたたくさんのお手紙が、その教会だけではなく、世界中どこでも、たとえ何百年何千年の時間がたったとしても、イエス様を、神様を礼拝する教会に対して向けられたお手紙として読むことができるからです。だからこそ、私たちは、パウロさんの「あなたがたは神に選ばれ、聖なる者とされ、愛されている」というお言葉を、私たちみんなに対しても言われている言葉としても聞くことができるのです。
 神様が私たちを選んでくださるって、とっても嬉しいことですよね。でも、同時に「どうして神様は私のことを選んでくれるんだろう」とも思ってしまうかもしれません。だけど、パウロさんは神様が私たちを選んでくださるその理由をはっきりとここで書いています。
 それは私たちが神様に愛されているからです。神様が私たちを愛してくださっているから、神様は私たちを選んで、聖なる者、つまり、神様の特別な存在としてくださっているのです。神様が私たちを愛してくださっている、というその証拠は神様が私たちを救うためにイエス様をクリスマスの日に送ってくださったことからも明らかです。
 なぜなら、クリスマスの日、イエス様が赤ちゃんとしてお生まれになったのは、この世界の誰も勝つことができない敵、罪や死から私たち救うために神様が送ってくださったからです。クリスマスの日にお生まれになったイエス様は、私たちを救うために十字架の上で死んでくださいました。そして、イースターの日に、この十字架の死からの復活によって、誰も勝つことができなかった罪や死という敵に勝利してくださったのです。だから教会は、クリスマスとイースターをとっても大切な日として守っているのです。
 このように、神様は私たちを罪や死という敵から救うために、神様が大好きでとってもとっても大切な独り子イエス様を差し出してくださるほどに私たちを愛してくださっている、ということがイエス様によって明らかにされているのです。だから、私たちはイエス様をとおして私たちに明らかにされた神様の愛にいつも感謝し、神様に向かって賛美の歌をささげながら、神様に選ばれ、愛されている一人一人として、今日から始まる一週間も歩んでまいりましょう。

祈り
 天の父なる神様、私たちを愛してくださってありがとうございます。神様が私たちを愛してイエス様を送ってくださったこと、神様がイエス様を私たちにあたえてくださるほどに、私たちを愛してくださっているから、神様が私たちを選んでくださっていること、聖なる者としてくださっていることを、今日、パウロさんの手紙から聞くことができました。どうか、神様に愛され、選ばれてる一人一人として、神様への感謝の思いを抱きながら、今日からの一週間も歩んでいくことができますように。この祈りを、イエス様のお名前によっておささげいたします。アーメン