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銀座の鐘

「東方の学者たちの礼拝」

説教集

更新日:2021年03月16日

2021年1月3日(日 )降誕後第 2 主日礼拝 新年家庭礼拝   牧師 髙橋 潤

マタイによる福音書2章1~12節

  時はヘロデ王の時代、ユダヤのベツレヘムで私たちの救い主イエス・キリストはお生まれ になりました。ベツレヘムから約10キロメートルほど離れたエルサレムにいたローマ帝国 に召し抱えられ、ユダヤを治めていたヘロデ王は、救い主がお生まれになったことを知りま せんでした。マリアとヨセフと共に飼い葉桶の主イエスについて、ヘロデ王だけでなく、世 界中のほとんど全ての者は何も知らなかったのです。神の民は、旧約聖書のメシア預言は知 っていたと思います。例えばイザヤ書9章、11章に記されている、終末において神から派 遣される救済者への待望を聞いていたと思われます。メシア、油注がれた者というイメージ を知っていたと思われます。あるいは、サムエル記下7章のダビデの子孫から理想的な王が 誕生する期待が旧約聖書に記されていますがこの預言が成就したことを知りませんでした。
 そのような時、東の国から占星術の学者たちがエルサレムに来ました。彼らは「ユダヤ人 の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。わたしたちは東方でその方の星を 見たので、拝みに来たのです。」と聞きました。この言葉は、占星術の学者たちが直接ヘロ デ王に謁見して語ったのかどうか分かりません。時の王を目の前にして、別の王が誕生した と語ることがいかに失礼なことであるかくらいは占星術の学者たちは、わきまえていたと思 います。しかし、東方から来た占星術の学者たちは、ユダヤのエルサレムに到着して、ヘロ デ王ではない新しい王が誕生したと語ったのです。占星術の学者たちとヘロデ王の間に誰か が仲介していたと思われますが、これを聞いたエルサレムの住民は、ヘロデ王が怒り狂い何 をするか分からないという恐怖に襲われたことでしょう。
 7節でヘロデ王が占星術の学者たちを「ひそかに呼び寄せた」ということは、王として、 新しい王の誕生に対する戦略が整ったことを意味しています。ヘロデの余裕を示す表現です。 ヘロデにとって自分の王座が何者かに奪われ、別の王が立つという悩ましい悪夢は、これま でも絶えず頭から離れない大問題でした。ヘロデ王の周辺の人々もヘロデ王の王座について 研究することも調べることも口にすることさえ出来なかったと思われます。しかし、東の国 から来た占星術の学者の話しを聞いて、ヘロデ王とその周辺に激震が走ったのでしょう。
 当時のユダヤは、ローマ帝国の支配下に守られていました。ゆえにローマ帝国は、外敵が ユダヤを狙っているということがないことを誰よりもよく知っています。ローマ帝国の支配 をくぐり抜けて新しい王が誕生することなどあり得ないし、そのような話題は相手にさえし ません。ただヘロデ王だけが過剰に反応しているのです。本来、ヘロデ王は、占星術の学者 たちの言葉を真に受けなくても不思議ではないのです。しかし、ヘロデは絶えず、自分の王座を脅かす足音を聞いて恐怖と不安の中で生活していたようです。不安の中で王座を守るこ とに固執して、平安がありませんでした。学者たちの前で取り乱さないようにするのが精一 杯だったのではないでしょうか。
  4節でヘロデ王自ら、メシアすなわち油注がれた王について調べさせました。

「4 王は民の祭司長たちや律法学者たちを皆集めて、メシアはどこに生まれることになって いるのかと問いただした。」

 学者たちは旧約聖書ミカ書5章の言葉をヘロデ王に告げました。ヘロデ王は、占星術の学 者たちを呼び寄せ「星の現れた時期を確かめた。8 そして、「行って、その子のことを詳し く調べ、見つかったら知らせてくれ。わたしも行って拝もう」と言ってベツレヘムへ送り出 した。」

 占星術の学者たちが、ヘロデ王の言葉をどのように聞いたのかは、何も記されていません。 彼らは、ヘロデの心や政治的な問題など全く関心を示すことなく、まっすぐに救い主を礼拝 するために星を見て喜び、主イエス・キリストにお会いしたのです。
 マタイによる福音書が私たちに伝えているのは、ローマ帝国の平和もヘロデ王も真の救い 主の誕生によって、土台ごと揺れ動きはじめたということでしょう。ヘロデ王の不安が日に 日に大きくなる中で、真の救い主への礼拝がささげられたことを伝えているのです。ユダヤ の民は、口先だけで本当にはメシアを待望していなかったことが暴露されているのでしょう か。東方の学者たちの指摘やヘロデ王の命令によって、ようやく祭司長や律法学者たちが預 言者ミカの言葉を思い起こすという、ユダヤ教の学者たちの権威を失う事態が公にされてい るのかもしれません。しかし、最も大切なこととして私たちに伝えているのは、ユダヤの民 ではない、東方の占星術の学者がはるばるベツレヘムまで星に導かれて、キリストを礼拝し たということです。そして最初のクリスマス礼拝の帰り道もお告げによって安全な道を帰る ことが出来たことです。ヘロデ王の支配下から難なく逃れたということです。

「10 学者たちはその星を見て喜びにあふれた。11 家に入ってみると、幼子は母マリアと 共におられた。彼らはひれ伏して幼子を拝み、宝の箱を開けて、黄金、乳香、没薬を贈り物 として献げた。12 ところが、「ヘロデのところへ帰るな」と夢でお告げがあったので、別の 道を通って自分たちの国へ帰って行った。」

私たちは、星に導かれた占星術の学者たちは、「その星を見て喜びにあふれた」のです。 凡人は星を見て喜ぶでしょうか。学者たちは「その星」をみて、喜びに喜んだのです。ギリ シャ語の原典では、喜びという文字が二つ重ねられています。主イエスにお会いする前に喜 んでいるのです。真の喜びを喜んでいるのです。尋常ではない喜び、歓喜の声をあげて喜ん だのです。洗礼式の喜び、聖餐に与る喜びがここに重なると思います。
 このように喜びを与える星は、私たちを救い主に導くのです。不思議な導きで礼拝へ導か れます。家族や友人を通して礼拝に出席した方もあります。キリスト教の学校から勧められ て礼拝出席することもあります。教会のホームページによって礼拝への道が与えられた人も あるでしょう。いずれにしても、自分の足で神さまの前に進み出たのです。そして、主イエ スにお会いするのです。神を礼拝する道が与えられます。
 もう一つの道があります。それは、主イエスに出会ってから自分たちの所に戻る道です。 東の国の占星術の学者たちについては、人数も名前も聖書は記していません。マタイによる 福音書2章を題材とした絵画や絵本等の作品では、贈り物の数に合わせて3人登場させたり、 一人一人に名前が付けられたり、贈り物の意味をつけたりしてきました。しかし、それらは、 聖書ではない後代の想像による作品です。聖書が語っていることは、彼らがひれ伏して幼子 を拝んだということです。ユダヤ人ではない東方の学者が幼子主イエスを礼拝したというこ とです。そして、宝の箱から黄金、乳香、没薬をささげて、ヘロデのところによることなく 別の道を通って自分たちの国へ帰ったということです。この占星術の学者たちが故郷に帰っ てからの信仰生活については詳しくは分かりません。しかし、ユダヤ人の王としてお生まれ になった方に会う目的を達成し、生涯忘れることのない喜びを経験しました。この喜びが彼 らを支えたことは間違いないことでしょう。この喜びを大切に母国へ帰ることができたのは、 「ヘロデのところへ帰るな」という夢のお告げに聞き従ったことです。
 主イエスにお会いし、主イエスに導かれた者は、羊が羊飼いの声を聞き分けるように救 い主の声とヘロデの声を聞き分けることが出来るのです。幼子は母の声を聞いて喜びます。 母代わりの人がどれだけ頑張って声色を使っても母への笑顔は見せてくれないでしょう。
 私たちは、2021年、救い主の声を聞き続け、救い主の声と現代のヘロデの声を聞き分 けて信仰生活を歩みましょう。私たちの信仰生活は、星に導かれて主イエスへの道をまっす ぐ進みます。主イエスの声を忘れないように他の大きな声に惑わされないように聞き分けて 日常生活へ帰ります。そのために、日々祈りましょう。聖書を熱心に読み、神の声を聞き続 けましょう。どの道を歩くときにも星を見た喜びを与えられた恵みを信仰生活の力として主 と共に力強く歩みましょう。

お祈り
 天の父なる神さま。私たちを救い主のもとに導いてくださったことを感謝いたし ます。私たちの生きる世界は、ヘロデの声やヘロデの策略の中で、迷わされる世界です。神 の声を聞きつづけるために、御言葉を聞き続けるようにお導きください。キリストを抹殺す る人間の傲慢を打ち砕き、あなたの栄光を現す教会を成長させてください。
主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン

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